星和Career Next2023 第3回公開セミナー
70歳法※を見据えた、
シニアからの新たな働き方の選択肢
講師:木村 勝氏(きむら・まさる)
リスタートサポート木村勝事務所
2023年9月7日(木)13:30~15:30
オンラインLive配信(Zoom)
Profile
人事インディペンデント・ コントラクター(独立人事業務請負人)、
中高年専門ライフデザイン・アドバイザー、電気通信大学特任講師
1961年 東京板橋区生まれ、一橋大学社会学部卒
1984年 日産自動車に新卒で入社後、人事畑を歩み続ける。
2006年 社命により日産自動車を退職し、全員が人事のプロ集団という関連会社に転籍。
中高年のセカンドキャリアをサポートする部門の部長としてセカンドキャリア支援業務(出向・転籍・転職等)に従事。
2011年 所属する会社がM&Aにより外資系企業に買収され、それを契機に真剣に自分のセカンドキャリアを考え始める。
2014年 一度の転職経験もない状態から「リスタートサポート木村勝事務所」を開設。
特定人材紹介会社に所属することなく、ニュートラルな立場でキャリア相談に精力的に取り組み、
自分の会社の人事部には相談できないビジネスパーソンのキャリアの悩みに対して個人面談やセミナーなどを
通じて支援している。
また、30年間で培った知見をもとに独立後も企業内人事部に籍を置き、面接、研修などの人事業務サポートや
日々発生する人事課題に対応する現役の人事の専門家としての顔を持つ。
登壇者インタビュー
星和インタビュアー(以下、古畑):木村先生ご無沙汰しております。この度は昨年に引き続き弊社主催の公開セミナーへの登壇にご了承いただきありがとうございます。
木村:こちらこそ、お声がけをいただきありがとうございます。
古畑:昨年ご登壇いただいた時のテーマ、「働かないシニアにならないためのミドル社員の教科書」が大変好評でしたので、是非今年もお願いしたいと考えておりました。
木村:そう言っていただけると光栄です。
古畑:よろしくお願いします。それでは、まず、今回のテーマについてお伺いしたいのですが、今回、「個人事業主(業務委託契約)」をテーマとされた理由・背景から教えていただけますか?
木村:はい、そうですね。
実はいま私自身が個人事業主として働きながら、同時に企業の人事でも働いているのですが、人事の立場からすれば65歳を過ぎた人を社員として外部から雇用することが、なかなか難しいと感じています。
古畑:それは「70歳法」への対応を踏まえたお話ですね。
木村:そうです。現在社員として働いている人の多くが、60歳からは再雇用となり、一般的には賃金など処遇を見直して契約社員(呼び方は嘱託、シニアパートナーなど会社によって異なります)として働いています。こうした状況の中で、他社で60歳定年を迎えたシニアの方を「雇用」という形で新たに採用することはなかなか難しいのが実状です。「雇用」の場合には、当然就業規則(シニア社員就業規則など定年前の正社員用の就業規則とは異なる就業規則を設けている会社がほとんどです)に従って一律的な取り扱いになります。
古畑:「能力さえあれば何歳でもいいのでは?」とも思ってしまいますが、「雇用」となると就業規則なども関係しますね。
木村:それに、社内にも組織や業務を熟知する優秀なシニア人材がいますので、そうした中、あえて社外から60歳を超えたシニアを社内にいるシニアより好条件で採用することは、社内にも説明がつきにくいです。
古畑:たしかにそれはありそうですね。
木村:働き方が「雇用」というルートだけでは、これら優秀な社員を上手く活用することができないと感じているのです。
私はこのことの解決策の1つとして、個人事業主として働くという方法があると考えています。私自身も52歳から個人事業主として働いているのですが、そのようなニーズは確実にあると実感しています。
古畑:我々が個人事業主になるということですか?
木村:いまはまだ努力義務ですが、高年齢者雇用安定法で70歳までの就業機会の確保の選択肢の中に「業務委託契約を締結する」というものもありますので、そういう意味では個人事業主は国がお墨付きを与えている働き方とも言えるわけです。
古畑:そうでしたね。ただ、個人事業主と言われても何から始めればいいのか…。
木村:皆さんピンとこないと思います。「個人事業主として独立」というと今までの仕事とはまったく違う仕事を立ち上げるイメージをお持ちだと思いますが、そうではありません。いままで長年従事してきた仕事を「雇用」ではなく「業務委託で独立して行う」イメージです。急に独立して何か新たな事業を始めろと言っているわけではありません。新たな仕事を立ち上げるのは「起業」であり、それはそんなに簡単な話ではありませんからね。
古畑:それは無理ですよね、よほど前もって準備をして資金的な計算もできていないと怖くて踏み出せません。
木村:そうですね。ですから、セミナーではそのあたりについて私の体験を含めてお話しできればと考えています。
古畑:なるほど、先生の実体験を含めてお話しいただけるのですね。
しかし、現段階で努力義務と言ってはいますが、70歳までの雇用確保となると企業の負担はかなり大きいですよね。
木村:そうですね。この65歳あたりでは、人によって気力も体力も個人差が大きいですしね。それに、これから60歳を迎えるバブル世代や団塊ジュニアという人の多い世代が順に「定年」「再雇用」「65歳」「更に70歳まで」となっていく時、これら全ての人を「雇用」で抱え込むということは企業としても決断しにくいところだと思うのです。
古畑:私は仕事柄人事の方と面談する機会も多いのですが、定年を65歳に延ばすだけでも企業の負担はかなり大きいとお聞きしています。企業によっては定年を65歳とするには現役世代の収入を調整する必要があると仰っているところもあります。それが70歳では…。
木村:すでに再雇用や定年の延長もすすんでいますので、企業も65歳までの定年延長を含めて「雇用」に関しては織り込み済みだと思いますが、この先さらに70歳までとなると躊躇するでしょうね。
古畑:なるほど、ではこの「個人事業主(業務委託契約)」という働き方を採用した場合のメリット・デメリットにはどんなことがあるのでしょうか。企業にとっては社会保障の負担がなくなるのは大きなメリットだと思うのですが、特にデメリットが気になります。
木村:では、個人から説明しましょう。これまでは企業に守られて働いてきたわけですね。古畑さんがさっき仰っていた企業の社会保障負担がなくなるということは、個人で国民健康保険等の手続きなどをする必要があります。確定申告も必要になります。あと、基本的に指揮命令を受ける働き方ではありませんから自律して仕事をするという点もこれまでと大きく変わります。そのあたりが苦手な人にはデメリットに感じるかもしれません。
古畑:そのことを65歳になってから考えていたのでは気持ちがついてこないかもしれませんね。やはり、40代・50代から将来への準備が大切ということでしょうか。
木村:自身が何をしたいのか、何ができるのか前もって棚卸しして、商品としてサービスとしてもっておく必要があります。
古畑:なるほど。では、企業にとってのデメリットはいかがですか。
木村:企業にとってのデメリットについては、私はそれほどないと考えています。先ほど個人のデメリットでも言ったように、この働き方の人たちは、基本的に指揮命令下の労働者ではないという点でしょうか。
古畑:顔見知りの人が、これまでと同じように職場にいても業務委託契約では会社の指揮下にないということですね。
木村:ただ30年、40年という豊富な経験をもって働いてきたシニア社員たちだからこそ、業務委託契約でも上手くできるという面があると思います。
古畑:私が面談をいただいた企業でもシニア社員と個人事業主として契約を結んでいるところはありましたが、すべてメーカーの一般社員の話でした。現場の採用が難しい、また、新しい人が育ちにくい中で、仕事に精通したベテランがいるなら…といった感じですが、この制度の導入に向いている業種・職種というのはあるのでしょうか。
木村:世の中一般的なイメージで言えば、個人事業主で働く人は資格や技術をもったスペシャリストということになるのでしょうが、私がよく言う個人事業主は「リリーフマン型」という類型も想定しています。
古畑:リリーフ? 野球の中継ぎの?
木村:そうです。その職場で急遽欠員が出た時にリリーフとして働く。このような働き方であれば、どのような職種でもニーズはあると思うのです。
これまでは、このような働き方がなかったために、個人事業主として働く人は限られた職種だけと思われがちでしたがそうではないわけです。
古畑:だとすれば、産休・育休、病気やけが、介護などによる休職への対応もできそうですね。
木村:私事で恐縮ですが、今度9月に「“半”個人事業主」に関する本を出版するのですが、その本の中で紹介している人たちは職種に関係なく、営業の方も人事の方もいらっしゃいます。
古畑:気になりますね。是非買って読みたいと思います。
木村:ありがとうございます(笑)。
古畑:私は、先ほど話にでてきたバブル世代の先頭なのですが、近い将来そういう時代の中で生きていくのでしょうね。
木村:ただ、私は働き方の全てを業務委託契約にと言っているわけではありません。同じ企業の中で「雇用」や「業務委託」という働き方の選択肢を増やせばいいと思うのです。それに、ここ数年テレワークがすすんだことで、どんな仕事が業務委託契約として可能かということを企業側が経験値としても積むことができたと思うので、この部分の可能性は高いと思うのです。
古畑:そうなれば、社会保険だけでなく交通費も不要な人が増えて、企業のメリットはいろいろありそうですね。
木村:働く側でも、これまでは何十年間も満員電車に揺られて出勤し、指揮命令のもと働いてという形だったのが、これからは、必要な時に必要な分だけ、週3日とか2日とか、あるいはスポットで働くという形を65歳以降に望む方が多いのです。ですから、働く側にもニーズやメリットはあると思います。
古畑:65歳だと、私はもう10年を切りました。引退後は近くのコンビニでとか、ぼんやりと考えていましたが、私の世代は人が多いので仕事探しも大変でしょうね。そうやって、知っている会社で働けるとありがたいですが…。
木村:そもそも、これまでに培ってきたスキルや経験を活かせない職場にいくのはもったいないと思うのです。労働人口がどんどん減っていく中、このことは、これからの日本の産業に大きく影響することになると思います。
古畑:たしかにそうですね。
まだまだお話の続きをお聞きしたいところですが、時間となりましたので続きは弊社メールマガジンと9月7日のセミナーで詳しくお伝えしていきます。
それでは木村先生、本日はありがとうございました。
木村:ありがとうございました。
【終了しました】
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