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2024/07/24
お知らせ 第3回: マネープランは「WPP」と戦略的な準備 #7<ミドルシニアの羅針盤レター>

ミドルシニアの羅針盤レター2024#7
  ミドルシニアの羅針盤レター 2024#7

第3回: マネープランは「WPP」と戦略的な準備

 研修講師、経営コンサルタント、そしてビジネス書作家でもある大杉潤氏による第3回目のお話は、マネープランは「WPP」と戦略的な準備についてです。

 人生100年時代を迎え、「長く働くこと」を目指す会社員が増えてきたことに伴って、中高年向け社員研修が大きく変わりつつあることを述べてきました。私が実施している「50代向けライフキャリア研修」では次の3つの柱からプログラムを構築しています。

1. キャリアプラン ~ トリプルキャリアと「自営型」シフト 【第2回】
2. マネープラン ~ 「WPP」と戦略的な準備       【第3回】
3. ライフプラン ~ 「幸福学」と人生のミッション     【第4回】

 今回の第3回は「マネープラン」についてお話しします。私の研修ではこの「マネープラン」を午前中に、午後から「キャリアプラン」、「ライフプラン」の順に行って、1日研修(7時間程度)とするケースが一般的です。将来の年金制度の展望や自分の年金額シミュレーションのやり方を理解し、長い定年後のマネープランについて危機感を持ったうえで、キャリアプランやライフプランを考えてもらうのです。

老後マネープランは「WPP」
 マネープランについては、「先のことまで考えていない」という50代会社員が多く、配偶者に任せきりで、毎月「小遣い制」で暮らしている人が大勢です。あとは夫婦がそれぞれの収入を別々の財布で管理して、共通の支出についてだけ大まかな分担を決めているケース。おひとりさまの場合は、将来に対する危機感からいろいろと考えているものの、明確な準備行動をとっている人は意外と少ない。私が日々、研修の場で接している50代会社員はおおよそこんな感じです。

 特に将来の年金については、何となく「自分がもらえる年金額は少なそうだ」という漠然とした不安を持っているものの、毎年送られてくる「ねんきん定期便」はチラリと見るだけで深く考えない人がほとんどです。「見たくないものは見ない」という感覚なのかも知れません。

 私がまずお話しするのは、老後マネープランを野球のピッチャーの継投に例えた「WPP」という考え方です。それぞれ、以下の頭文字になります。(図表3-1参照)

W:Work Longer(長く働く)→ 先発
P:Private Pension(私的年金)→ 中継ぎ
P:Public Pension(公的年金)→ 抑え

 この中で、最も大切なのは、先発ピッチャーの「長く働く」こと、次が抑えピッチャーの「公的年金」で,野球のゲームプランと同じです。

 2019年の金融庁レポートで「老後2000万円不足問題」が大きな反響を呼び、資産運用(投資)が重要だということで、金融機関の投資セミナーが連日満員になりました。しかしながら、退職金や資産運用(投資)などは脇役なのです。

図表3-1 老後マネープランはWPP

「年金3点セット」で自分の年金額を把握する
 それを踏まえたうえで、次の「年金3点セット」で自分の将来の年金額を把握することが大切です。現状把握がしっかりできなければ、マネープランの戦略は立てられません。

1.「ねんきん定期便」を毎年チェック
2.「ねんきんネット」に登録して自らの年金額をシミュレーション
3.日本年金機構の窓口相談(予約制・ひとり45分間・無料)

 ねんきんネットによるシミュレーションは、何歳までいくらの年収で働くか、年金を基礎年金・厚生年金でそれぞれ何歳から受給するかなど、条件を変えて自在にシミュレーションができる優れものです。これを行ったうえで、年金事務所の窓口に相談に行けば、とても有益な情報が得られます。夫婦で行けば連続の時間枠で90分間、じっくりと相談ができます。

家計版の「キャッシュフロー表」で戦略的な準備
 将来の年金収入を何とおりかシミュレーションして把握すれば、家計としての毎年の収支バランス(収入マイナス支出)を計算できます。それを現在からできれば90歳、95歳くらいまでのものを毎年計算して一覧表にする「家計版キャッシュフロー表」を作成することを勧めています。最初に作るときは大変ですが、一度作成しておくと、あとは毎年見直しをするだけなので、機動的に戦略を立てて老後資金の準備ができます。(図表3-2参照)

 更に毎年の年末時点での家計の資産、負債および純資産を把握する 家計版「貸借対照表」(バランスシート)」を作成しておくと、より適切な準備ができます。(図表3-3参照)
図表3-2 家計版キャッシュフロー表【例】

図表3-3 家計版貸借対照表(バランスシート)【例】

 マネープランについては、配偶者や子どもの有無、居住地、相続、介護など個別事情による個人差が大きく状況がさまざまなので、研修では個人ワークとして取り組んでいただき、グループでの共有などは行わない運営としています。ただ、作業をしてみた感想を述べ合うことで、自分の意識や準備について、いろいろと刺激を受けるようです。

 次回の第4回(最終回)では、「ライフプラン」についてお話しします。

【参考文献】
『WPP.シン年金受給戦略』(谷内陽一著・中央経済社)
『知らないと損する年金の真実』(大江英樹著・ワニブックスPLUS新書)
『定年ひとり起業 マネー編』(大杉潤著・自由国民社)
 権丈善一・慶應義塾大学教授の東洋経済ONLINE記事

【筆者 大杉潤氏 プロフィール】
 1958年東京都生まれ。フリーの研修講師、経営コンサルタント、ビジネス書作家。
早稲田大学政治経済学部を卒業、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)に 22年間勤務したのち東京都庁に転職して新銀行東京の創業メンバーに。
人材関連会社、グローバル製造業の人事・経営企画の責任者を経て、2015年に独立起業。
年間300冊以上のビジネス書を新入社員時代から40年間読み続け累計1万2000冊以上を読破して、3400冊以上の書評をブログに書いて公開している。
著書には、『定年ひとり起業』シリーズ3部作(自由国民社)、『定年後不安』(角川新書)、『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)などがある。



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 株式会社星和ビジネスリンクが行っております。
2024/07/10
お知らせ 第2回: キャリアプランは「自営型」シフト #6<ミドルシニアの羅針盤レター>
ミドルシニアの羅針盤レター2024#6
  ミドルシニアの羅針盤レター 2024#6

第2回: キャリアプランは「自営型」シフト

 研修講師、経営コンサルタント、そしてビジネス書作家でもある大杉潤氏による第2回目のお話は、キャリアプランは「自営型」シフト についてです。

 第1回では、中高年向け社員研修が、これまでの「ソフトランディング型」研修から、中高年社員の積極活用を志向した「再活性化型」研修へ転換していることを示しました。その背景として、人生100年時代を迎え、「長く働くこと」を目指す会社員が増えてきて、会社もその支援を積極的に行うようになってきたことを「3つの要因」から説明しました。

 第2回から第4回では、「長く働くこと」を志向する中高年社員向け研修は実際にどのようなプログラムで実施されているのかを見ていきます。私が中高年社員向けに行っている「50代向けライフキャリア研修」(名称は、キャリアデザイン研修、リフレッシュ研修などさまざま)をベースに最新プログラムを、3回に分けて紹介・解説していきます。

 プログラムの柱は以下の3つからなり、それぞれ第2回、第3回、第4回において具体的な内容とその狙いについて説明していきます。

1. キャリアプラン ~ トリプルキャリアと「自営型」シフト 【第2回】
2. マネープラン ~ 「WPP」と戦略的な準備       【第3回】
3. ライフプラン ~ 「幸福学」と人生のミッション     【第4回】

第2回の今回は「キャリアプラン」についてです。

定年後の働き方「4つの選択肢」
  一般的に60歳定年後の選択肢は以下の4つと言われています。

1. 定年再雇用
2. 出向・転籍
3. 転職
4. 独立・起業

 このうち、8割以上の会社員は1番目の定年再雇用を選択し、大企業では9割以上と言われています。再雇用は一見リスクがなさそうに見えますが、65歳以降も「長く働く」というライフスタイルを目指す場合、65歳のときに取れる選択肢が狭くなり、実はリスクが大きいとも言えます。

 一方で、4番目の独立・起業はハードルも高く最もリスクが大きく感じられます。しかし今後は企業が70歳までの就業機会を確保する観点から、雇用にはこだわらず「業務委託契約」を締結する形で会社員の起業を支援する流れも出てくるものと思われ、意外にリスクが少ないかも知れません。「65歳以降の人生が長い」ということをベースとした人生の全体像から、60歳以降の働き方やキャリアプランを組み立てる時代になってきたのです。

長く働くための「トリプルキャリア」という考え方
  私の行う研修では、長く働くために、働く期間を3つに分けて考える「トリプルキャリア」という考え方を紹介しています。次の3つに区分します。

1. ファーストキャリア: 会社員として「雇われる働き方」
2. セカンドキャリア: 定年のない「雇われない働き方」
3. サードキャリア: ライフワークに絞り込む「理想の働き方」

 それぞれ「65歳の壁」、「75歳の壁」という年齢の壁を迎えるまでに、ファーストキャリアからセカンドキャリアへ、セカンドキャリアからサードキャリアへ、働き方を戦略的に変えていくのです。「65歳の壁」とは完全定年の壁で、これを越えて「雇われる働き方」では働き続けることが難しくなります。「75歳の壁」は体力・健康面の壁で、それまでと同じフルタイムでの働き方は難しくなります。 そうした年齢による壁はあらかじめわかっているので、そこに備えて50代のうちから計画的に準備をしていくのが「トリプルキャリア」という考え方です。

 コツは、人生の最期まで続けたいサードキャリアでの活動、すなわちライフワークを先に決めること。そこから逆算して(バックキャスティングで)セカンドキャリアとしてどんな仕事をするかを決め、そのための準備としてファーストキャリアの50代にはどんな働き方をしていくのかを戦略的に考えていくのです。(図表2-1参照)

図表2-1 人生100年時代のトリプルキャリア

人生とキャリアの棚卸しで、「好き」や「強み」を再発見する
 雇われない働き方のセカンドキャリアへ移行して長く働き続けるには、自分の「好き」や「強み」を明らかにして、それを組み合わせることが必要になります。できれば3つ以上の個性や専門性を組み合わせることで「オンリーワンの存在」になることを目指すのです。

 研修では、生まれてから現在までの人生とキャリアを棚卸しして、その時々の「人生満足度」を数値化してグラフに描いてもらいます。さらに、エドガー・シャインが提唱するキャリア・アンカーの「動機」「コンピタンス」「価値観」というフレームを、そのベースとなるキャリアプランニングの3つの視点「Will(したい)」「Can(できる)」「Must(すべき)」に対応させて、3つが重なるコンセプトを内省してもらうのです。(図表2-2参照)
図表2-2 キャリア・アンカーを明確にする

 そうした個人での思考、言語化を通して、サードキャリアでのライフワークにつながる活動のイメージを考えてもらいます。将来のキャリアを自ら描くという時間をもって、同世代の仲間とアウトプットし合うのは貴重な体験になります。 グループ演習による意見交換・情報交換を経て、50代からは会社の中で、メンバーシップ型でもジョブ型でもない、「自営型」の働き方をすべきではないかと考える人が多くなり、キャリア自律につながっていくのです。

【参考文献】
『「自営型」で働く時代』(太田肇著・プレジデント社)
『定年ひとり起業』(大杉潤著・自由国民社)
『定年後不安』(大杉潤著・角川新書)

【筆者 大杉潤氏 プロフィール】
 1958年東京都生まれ。フリーの研修講師、経営コンサルタント、ビジネス書作家。
早稲田大学政治経済学部を卒業、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)に 22年間勤務したのち東京都庁に転職して新銀行東京の創業メンバーに。
人材関連会社、グローバル製造業の人事・経営企画の責任者を経て、2015年に独立起業。
年間300冊以上のビジネス書を新入社員時代から40年間読み続け累計1万2000冊以上を読破して、3400冊以上の書評をブログに書いて公開している。
著書には、『定年ひとり起業』シリーズ3部作(自由国民社)、『定年後不安』(角川新書)、『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)などがある。



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2024/07/04
お知らせ 第1回: 自社内にロールモデルとなるシニア社員はいますか~社内外で新たな役割を創り出すロールモデルに学ぶ~ 号外編#3<ミドルシニアの羅針盤レター>

自社内にロールモデルとなるシニア社員はいますか
~社内外で新たな役割を創り出すロールモデルに学ぶ~

 定年後研究所*1の池口です。弊所では、中高年社員の活性化に関心のある企業人事担当者の情報交換の場として「シニア活躍推進研究会*2」を対面方式で定期開催しています。そこでは産官学の有識者のご講演とともに、分科会で人事担当者同士の忌憚のない情報交換をしていただいております。

シニア社員のキャリア課題
 実に様々な悩みが企業人事担当者から聞かれますが、最も多いのは、
「受け身のキャリアを重ねてきたシニア社員は、自ら役割を創り出す心構えが薄い」
「プロボノや副業など外に目を向ける機会を設けても手を挙げるのは若手社員ばかりで、
シニア社員からの反応がない」
「キャリア研修を希望制に変更したが、キャリア自律意識の低い層は手を挙げてくれない」
「体験発表をお願いできるようなロールモデルとなりえるシニア社員やOB・OGが見当たらない」 との声です。皆様の会社ではいかがでしょうか。

 キャリアの一定の振り返りはできても、セカンドキャリアをこれまでの延長でしかイメージできないとの声もよくお聞きします。
私自身も長年受け身のキャリア形成をしてきた世代の一人として、外に目を向けようとしないシニア社員の内面が理解できるような気がします。自社内に限られた職場経験だけでは、未知の分野で自分の能力が通用するのか想像もできず、尻込みをしてしまうのは無理もないことかも知れません。

シニア社員の自己効力感*3を高めるには
 自己効力感の研究で著名なバンデューラは、自己効力感の形成や変容に影響を及ぼす4つの要素の一つに「代理学習」をあげています。自分が実際に行動していなくても、他者の経験を観察することで、「これは自分にもできそう」「少し背伸びや勉強をしてみることで、自分もあの先輩のようになれるかもしれない」と感じることができれば、自己効力感は高まります。そして新たなチャレンジや社外への踏み出しを促すことも期待されます。

 私がアドバイザーを務める「早稲田大学キャリア・リカレント・カレッジ*4」では、「キャリア羅針盤*5」を活用した自己理解作業に加えて、多彩なロールモデルにご登壇をいただき、受講生に豊富な「代理体験」の機会を提供しています。同じ世代や少し先輩にあたる等身大のロールモデルが語るキャリアストーリーは、受講生一人一人のキャリアの可能性、自己効力感を徐々に広げていき、やがて自らが、自分たちの志向にあったロールモデルを探しだし、能動的に学びを重ねていく行動変容に繋がっています。

「自己理解作業」と「代理体験」が「最初の一歩」を促す

キャリア羅針盤「ロールモデルに学ぶ」
 定年後研究所では、これまでも多彩なロールモデルにインタビューを行い、その意識と行動変容のプロセスを調査研究してきています。今回、その集大成の一つとして「キャリア羅針盤:ロールモデルに学ぶ」をご提供する運びとなりました。
「役職定年後の新たな役割に生きがいを見出し、意欲的に学習することでセカンドキャリアの道筋も描いた方」
「早期退職勧奨に応じ、学びのインターバルを置くことで、本来やりたかったことにチャレンジし、パラレルキャリアを実現した方」
「再雇用後の社内での仕事にやりがいを見出せず、社外公募に手を挙げたことから、再雇用期間を活かしきり、65歳以降のキャリアの充実を手にした方」
など5名の方に語っていただき、自らのキャリア後半の探索に前向きになっていただくことを狙いとしています。

 ご関心のある方は、定年後研究所のサイト「お問い合わせ」よりご照会ください。

◎一般社団法人定年後研究所 お問い合わせフォームはこちら

*1 一般社団法人定年後研究所 概要等(HP)はこちら
*2 シニア活躍推進研究会
主として大手企業の中高年社員の活躍をテーマに、人事担当者を対象に「付加価値の高い情報提供」と「人事担当者の情報交換の場づくり」を目的として、東京・大阪会場別日程にて対面方式で定期開催しています。
*3 自己肯定感 バンデューラが提唱した概念で、目標を達成するための能力を自らが持っていると認識すること。
*4 早稲田大学キャリア・リカレント・カレッジ
ミドルシニアのビジネスパーソンが自分らしいキャリア後半を設計することを目的に、早稲田大学と定年後研究所共同で開発した半年間の履修証明プログラム。今期は2024年10月開講予定。
*5 キャリア羅針盤
中高年社員が、自身のペースで深い自己理解、キャリア探求を行うeラーニングプログラム。定年後研究所が総合監修し、渡辺三枝子氏、川島隆太氏など各界の第一人者が内容を執筆。

2024/06/26
お知らせ 第1回: 「長く働くライフスタイル」を目指す背景 #5<ミドルシニアの羅針盤レター>

ミドルシニアの羅針盤レター2024#5
  ミドルシニアの羅針盤レター 2024#5

第1回: 「長く働くライフスタイル」を目指す背景

 本号から新しいテーマになります。4回にわたり、研修講師、経営コンサルタント、そしてビジネス書作家でもある大杉潤氏より、最近の中高年社員向け研修の動向とその背景について語っていただきます。1回目は、 「長く働くライフスタイル」を目指す背景です。

 中高年向け社員研修が今、大きく変わり始めています。これまでの「ソフトランディング型」研修から、中高年社員の積極活用を意図した「再活性化型」研修への転換です。
研修受講後の目指す姿は、自ら内省を深めて情報収集や「学び直し」の行動を起こすこと。自らキャリアや人生を設計する中で、自発的なリスキリングによって長く会社に貢献しようというモチベーションアップやキャリア自律を果たしていく姿です。
その背景として、人生100年時代を迎え、「長く働き続ける」会社員が増えてきて、会社もその支援を積極的に行うようになってきたことがあります。
第1回では、「長く働くこと」を目指す背景を3つに分けて説明していきます。

「働き手不足1,100万人」の衝撃【経済要因】
 会社員が定年後も長く働き続ける第1の背景は、経済要因です。2027年から生産年齢人口(15~64歳)が本格的に減少し始めます。働き手不足が拡大し、2040年には1,100万人もの不足が生じるという衝撃的な予測があります。リクルートワークス研究所によるレポート「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」(2023)で発表された数字で、その根拠は、国勢調査や国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」の中位推計をベースにした人口推移の予測です。(図表1―1、1-2参照)

図表1-1 15~64歳人口と65歳以上人口の推移

図表1-2 労働需給シミュレーション

 働き手とされる生産年齢人口の減少が加速していく一方、65歳以上の高齢者人口は横ばいから微増となって生活維持サービスの需要はむしろ拡大するため、輸送・運搬(ドライバー)、建設、販売、介護、医療などの生活サービスを担う働き手(エッセンシャルワーカー)が大幅に不足するのです。2024年現在でもドライバーや介護分野での高齢化と人材不足は明らかですが、2027年からは不足人数が急拡大します。

 こうした状況下で、元気な高齢者に対する労働需要は増加し、働き手として強い期待が続くものと考えられます。

年金財政の逼迫が加速化【財政要因】
 第2の背景が財政要因です。先ほど述べた人口構成の推移により、年金保険料を支払う現役世代と年金受給者である高齢者のバランスが更にいびつになっていくことから、年金の受給金額は下がっていくでしょう。正確に言えば、これからはインフレによって名目金額は上がっていくでしょうが、物価上昇率ほどには上がらないということになります。年金制度自体に「マクロ経済スライド」という仕組みがビルトインされていて、物価上昇率より少ない年金額上昇率にすることで、人口構成のゆがみを調整していく仕組みになっているからです。

 したがって、年金生活者の購買力は年々、下がっていくことになり、おのずと年金をもらいながら働いて生活費不足分を補うというライフスタイルが一般的になっていくでしょう。

健康面でも「働き続けるメリット」が大きい【身体要因】
 長く働き続ける3つ目の背景が身体要因です。高齢者の就業率トップの長野県の平均寿命が全国的に高いことをはじめ、世界的にも「健康長寿の人には長く働き続けている人が多い」という調査・研究が数多くあります。

 「健康だから働いている」と解釈する人も多いのですが、私は逆だと考えていて、「働き続けているから健康なのだ」と思うのです。働いてお金を稼ぐには、規則正しい生活を続け、緊張感を持って日々を過ごし、仕事の関係で人との会話や交流があって孤独を感じることは少ない傾向です。無理のない働き方であれば、心身の健康に「働くこと」は大きなメリットになるでしょう。最大の予防医療は「働くこと」と提唱している医学の専門家も多いのです。(拙著『定年ひとり起業 生き方編』を参照)

 以上の3つの背景、すなわち「経済要因」「財政要因」「身体要因」から、今後ますます「長く働き続ける」というライフスタイルが増えていくでしょう。ただし、働き方は多様化していくものと思われます。2021年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」では、雇用という形態にはこだわらず、「70歳までの就業機会の確保」を大企業の努力義務として定めています。その大企業の中でも対応している企業はまだ3割程度と言われていますが、今後は中小企業も含めて多くの企業で、「長く働くライフスタイル」を支援する取り組みがなされていくでしょう。

【参考文献・資料】
『「働き手不足1100万人」の衝撃』(古屋星斗ほか著・プレジデント社) 2024年2月18日付日本経済新聞朝刊記事「70歳以降も働く、最多39% 将来不安「経済」が7割」
『定年ひとり起業 生き方編』(大杉潤著・自由国民社)

【筆者 大杉潤氏 プロフィール】
 1958年東京都生まれ。フリーの研修講師、経営コンサルタント、ビジネス書作家。
早稲田大学政治経済学部を卒業、日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)に 22年間勤務したのち東京都庁に転職して新銀行東京の創業メンバーに。
人材関連会社、グローバル製造業の人事・経営企画の責任者を経て、2015年に独立起業。
年間300冊以上のビジネス書を新入社員時代から40年間読み続け累計1万2000冊以上を読破して、3400冊以上の書評をブログに書いて公開している。
著書には、『定年ひとり起業』シリーズ3部作(自由国民社)、『定年後不安』(角川新書)、『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)などがある。



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2024/06/19
お知らせ 第5回 HRカンファレンス「中高年女性社員の活躍」に関する講演内容について 号外編#2<ミドルシニアの羅針盤レター>

ミドルシニアの羅針盤レター 号外編#2
  ミドルシニアの羅針盤レター 号外編#2

HRカンファレンス「中高年女性社員の活躍」に関する講演内容について

 5月16日、日本の人事部主催の「HRカンファレンス」で、特別講演として「中高年女性社員の活躍に向けた現状課題と解決策の考察 ~あいおいニッセイ同和損保*1の取り組み事例とともに~」で登壇し、多くの大手企業の人事担当者、ダイバーシティ推進担当者の方々にご視聴をいただきました。

 日本の人事部・事務局から、「募集早々に満員締め切り」になったと連絡を受けたことで、このテーマの関心の高さがうかがえました。そこで、この場をお借りして、「講演概要」をお伝えいたします。詳しい資料をご希望の方は、末尾の請求方法をご参照いただき、ご請求をお願いいたします。

定年後研究所とニッセイ基礎研究所との共同調査研究
 先ず、第1部では、定年後研究所*2所長の池口から「定年後研究所とニッセイ基礎研究所との共同調査研究」として、(1)中高年女性正社員のキャリアや管理職に関する意識調査(2023年10月実施のアンケート調査:量的調査)と(2)ダイバーシティ・中高年社員活躍に関する大企業の取り組みへの調査(2023年9~10月実施のインタビュー調査:質的調査)をご報告しました。

第1部(1)中高年女性正社員のキャリアや管理職に関する意識調査
 調査では45~69歳の女性正社員を対象に、一般職と総合職の対比の中で、これまでのローテーション経験や社内研修受講の経験に加え、管理職志向や、今後の仕事への姿勢、学び直しの意向、定年や介護に関する意識などを幅広く調査しました。特筆すべきは、これまでの社内経験が一般職と総合職とでは大きく異なる中で、50代後半の一般職の2割程度は「管理職志向」を持っていること、6割弱が「学び直し」に関心を持っていることです。また、少数ながら管理職に就かれた層が、管理職経験を極めて前向きにとらえていることや、一方で管理職経験に関する課題意識も多岐にわたって持っていることも明らかになりました。

第1部(2)ダイバーシティ・中高年社員活躍に関する大企業の取り組みへの調査
 調査では「コース別人事」が徐々に消滅しつつあること、成長戦略やガバナンス強化を本質的な目的とするダイバーシティ化が推進されていること、性や年齢にとらわれない「人物本位」の登用が進められていること、更に「働き方改革」の中でも男性育休取得に注力されていることなどが明らかになりました。また、中高年社員活性化の側面では、定年や役職定年の見直しが進捗しつつあること、社内外での公募拡充など配置ポストが新設されつつあること、キャリア研修の中身や対象年齢、実施方式が見直されつつあること、更には副業もセカンドキャリア開発目的で促進されつつあることが明らかになりました。

第2部 あいおいニッセイ同和損保の取り組み事例
 続いて第2部では、あいおいニッセイ同和損保の取り組み事例を、同社でダイバーシティ推進を担ってこられた宮崎智恵様からご紹介をいただきました。大きく「中高年社員の活躍に向けた取り組み」と「女性社員の活躍に向けた取り組み」を、制度面・運営面に分けて詳しくご紹介をいただきました。「中高年社員の活躍に向けた取り組み」では、「65歳以降も含めて年齢に関わらず活躍できる機会の提供」や「60歳以降のロールモデル社員と若手・中堅社員との交流会」に注力されていることが特徴的でした。

 また、「女性社員の活躍に向けた取り組み」では、役職段階ごとにきめ細かくマネージャートレーニング制度を運営されていること、働きやすい職場風土づくりに向けて「部支店ごとのダイバーシティ推進会議の開催」や「異動ローテーションの機会が再雇用社員にも幅広く提供されている」ことが印象的でした。

 会場からのご質問も、「男性育休の意義や目的」を経営陣に如何に伝えていくか、「年齢で一律的に給与ダウンが生じる人事制度への向き合い方」など本質的なものをいただき、人事担当者様の真摯なお悩みに触れることができました。

定年後研究所では、これからも「中高年社員の活性化、持続的な活躍」に関する質の高い調査研究の提供に務めて参ります。読者の皆様からも、ぜひ「調査研究の視点」などご希望ご要望をお聞かせいただければ幸いです。

当HRカンファレンスで紹介しました「スライド資料」や「共同調査研究報告書」をご覧になりたい方は、定年後研究所サイトの「問い合わせ」よりご連絡ください。

*1 あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
*2 一般社団法人定年後研究所


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◎一般社団法人定年後研究所 お問い合わせフォームはこちら

中高年層(40代後半~50代)の社員の支援策に
このような課題はありませんか?

人事部・総務部の方

  • これまでの経験を活かしながら、
    新たな能力の発揮の仕方や活躍の方法に気付いてほしい。
  • 生涯現役時代のキャリア計画を支援したいが、
    ちょうどいいプログラムが見つからない。
  • 集合型のセミナーを実施することが難しい
    (コスト面・密を防ぐ等の理由から)。

健康保険組合・福利厚生担当の方

  • 65歳まで、心も身体も健康に働き続けてほしい。
  • 介護やがんなど、仕事にも影響する、
    人生の後半に起こりうる問題に備えてほしい。
  • 加齢から来る衰えにうまく対処し、
    前向きに仕事に取り組んでほしい。

キャリア羅針盤®︎が中高年層の
新たな気づきを促し
社員のエンゲージメントを高めます。

キャリア羅針盤®︎の特長

キャリア羅針盤®︎は一般社団法人定年後研究所が、組織で働く中高年層を対象に、
今後の社会人人生を充実させることを目的とし、監修するラーニングシステムです。

中高年社員の活性化のための調査研究を行う、
定年後研究所」が監修!

point.01

中高年層に特化!

人生100年時代の中間地点に位置する中高年層がその後のキャリアと人生を前向きに充実させるためのヒントを提供します。

point.02

気付きと行動変容を後押し!

短時間で学ぶ・覚えるのではなく、受講者自身がじっくり考えるプログラムです。気付きを促し、行動変容につなげることを最大の目的としています。

point.03

柔軟な受講形態!

プログラムの組み合わせは自由。1講座からフルパッケージまでご相談可能です。本格的なライフキャリア研修をeラーニングでいつでも・どこでも受講できます。

point.04

人事・福利厚生の業務を
バックアップ!

従業員の受講状況・入力データは管理部門の方が確認できます。
管理部門の方の手間を軽減しながら、中高年層の社員の再活性化が図れます。

講座内容

キャリア羅針盤®︎のプログラムは
人生のプランニング
仕事との両立」の
2つのカテゴリで構成されています。

キャリア形成支援(ライフキャリア)

キャリア形成支援
(ライフキャリア)

経験を土台にしながら自分と向き合い、その後の職業人生を充実させるためには何が必要かを考えます。従来、集合研修で行われていた本格的なライフキャリア研修をeラーニング化しました。

ビッグファイブラーニング

ビッグファイブラーニング

ビッグファイブと呼ばれる5つの性格因子から自分の傾向を診断。自分にとって2番目以降に強い因子を強化することで新たな能力を発揮し、活躍できるフィールドを広げられるよう促します。

8コンテンツ

8コンテンツ

生産性向上・危機管理などの8つのコンテンツから社会人として理解しておくべきポイントを再認識します。気付き・思考から理解・実行へ促すためのラーニングです。

マネープラン

マネープラン

中高年のマネープランは、人生トータルの収入を見通し、ライフプランを立て、支出をコントロールすることが重要です。社員の健全な財産形成・仕事に専念できる環境作りを目指します。。

幸せな介護

幸せな介護

定年が延長することで、多くの従業員が就労期間中に親の介護に接する可能性があります。この講座では、仕事と両立しながら「幸せな介護」を実現するために必要な知識や制度を学びます。

職場に必要ながん教育

いま職場に必要ながん教育

近年、中学・高校の学習指導要領にも盛り込まれる「がん教育」。生活習慣での予防、がん検診による早期発見の大切さなど、がんについて大人が知っておくべきことを短時間で学べる講座です。

仕事に活かすマインドフルネス

仕事に活かすマインドフルネス

マインドフルネスコントロールの仕方や禅の考え方を学び、日々の仕事や日常で役立つ集中力・注意力の向上、生産性の向上、ストレス耐性の向上などを目指します。

まだ間に合う!脳のトレーニング

まだ間に合う!脳のトレーニング

就労期間が長期化するなか、個々の健康管理はこれまで以上に重要です。この講座では、脳によい習慣を身につけ、脳を鍛えることでパフォーマンスを最大化させる方法をお伝えします。

お客様の声

キャリア羅針盤®︎をトライアル体験をしていただいた企業様のお声をご紹介します。

【まだ間に合う!脳のトレーニング】

eラーニングをトライアルいただいたお客様の声です。 【まだ間に合う!脳のトレーニング】 (受講者) ...

お客様の声

【仕事に活かすマインドフルネス】

eラーニングをトライアルいただいたお客様の声です。 【仕事に活かすマインドフルネス】 (受講者) 呼...

お客様の声

【いま職場に必要ながん教育】

eラーニングをトライアルいただいたお客様の声です。 【いま職場に必要ながん教育】 (受講者) 運動不...

お客様の声

【マネープラン】

eラーニングをトライアルいただいたお客様の声です。 【マネープラン】 (受講者) 大まかには実施して...

お客様の声

【8コンテンツ】

eラーニングをトライアルいただいたお客様の声です。 【8コンテンツ】 (受講者) 人とコミュ二ケーシ...

お客様の声

【ライフキャリアプラン】

eラーニングをトライアルいただいたお客様の声です。 【ライフキャリアプラン】 (受講者) これまでキ...

お客様の声

【幸せな介護】

eラーニングをトライアルいただいたお客様の声です。 【幸せな介護】 (人事・総務関係の担当者) 非常...

お客様の声

【ビッグファイブ】

eラーニングをトライアルいただいたお客様の声です。 【ビッグファイブ】 (人材育成関係の担当者) 単...

お客様の声

プログラム監修 
一般社団法人定年後研究所

人生100年時代のなかで、特に定年前となる50代以上の企業人・会社員のセカンドライフ支援・準備に向けた研究活動を行う。2018年の設立来、『定年3.0』や『50代シンドローム』といった概念を提唱し、各種メディアに取り上げられる。また、2019年には70歳定年に関する調査を実施し、研究結果を発表する等、社会や企業が抱える課題解決に役立つ情報発信を精力的に行っている。

運営 株式会社星和ビジネスリンク

キャリア羅針盤®は企業向け研修・セミナー企画、経営コンサルティング、業務代行を提供する株式会社星和ビジネスリンクが運営しています。当社はシニア世代のセカンドキャリアを支援するサービスの開発に力を入れています。

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