星和CareerNext2022
第1回公開セミナー
「輝く」中高年社員であるための
キャリア自律のポイント
2022年7月6日(水)13:30~
(オンラインセミナー/ライブ配信)
木村 勝氏 Masaru Kimura
リスタートサポート木村勝事務所 代表
Profile
1984年大学卒業後、日産自動車に入社、人事畑を30年間歩み続ける。中高年の第二の職業人生を斡旋する部門の部長として、中高年の出向促進業務に従事。
2014年に独立し、人事業務受託の 「リスタートサポート木村勝事務所」を開設。
著書 『ミドルシニアのための日本版ライフシフト戦略』(WAVE出版)、『知らないと後悔する定年後の働き方』(フォレスト出版)、『働けるうちは働きたい人のためのキャリアの教科書』(朝日新聞出版)のほか、週刊ダイヤモンド、日経ビジネスなどへの執筆・コメントも多数。
登壇者インタビュー
キャリア自律が求められる二つの要因
星和インタビュアー(以下、星和):まずは、7月のオンラインセミナーにご登壇をいただきますこと、感謝申し上げます。
今回のセミナーは「『輝く』中高年社員であるためのキャリア自律のポイント」がテーマですが、近年「キャリア支援」や「キャリア自律」といったものが求められるようになった背景からご説明をいただけますか。
木村:そうですね、簡単に言うと二つの要因があって、一つは、働く期間がどんどん長期化しているということ。我々より上の先輩、団塊の世代なんですけども、彼らは60歳で定年を迎えあとは余生をのんびりと、百名山に登ってみたり…そういうことができたんですけども、今はそうではなくて65歳が当たり前、更には「改正高年齢者雇用安定法」で70歳まで働くのが現実になっている。よく言われるように、人生100年・80歳現役時代がまさに到来している。この働く期間が長くなっているというのが一つ目の要因です。
もう一つの要因は、環境変化の振れ幅が非常に大きくなったということです。私は長く自動車業界にいましたけど、若いころは、どんどんアメリカの市場が伸びていって、とにかくいいものを安く作れば(自動車が)売れて(会社が)成長したのが一つ前の時代だったのです。
それが今、自動車産業でいえば自動運転が現実化したり、或いはガソリンで動いていた自動車が電気で動くようになったり、T型フォードが世に出てから今までの100年の変化と同じような変化がこの2~3年で一気に変わったような、それくらい大きな環境変化があります。環境変化の振れ幅が大きくなって、なおかつ働く期間が長くなっているときに、我々に何が必要かと考えますと、やっぱり自分でこうした大きな環境変化に耐えられるキャリアをデザインする力なのです。
これが正にキャリア自律が求められる理由だと思います。
星和:そのような背景から個々の社員にも「キャリア自律」というものが求められるようになってきたわけですね。
木村:これまでなら、会社も「会社にすべて任せておけば、将来のことは会社が決めるから、個人では考えなくていい」という考え方がほとんどでした。会社としても、キャリアについて下手に自分で考えられてしまうと会社の仕事に集中してくれない…寝た子を起こす様なことになりかねないので、あえて触れなかったところもあるのです。
ただし、「人生100年・80歳現役」時代と言われるように、働く期間が長期化し、現在のボリュームゾーンであるバブル世代、その下には団塊ジュニア世代がこれから60歳、65歳、70歳になってきたときにどのように組織や人を活性化するのか、そのためには会社による制度変更だけでなく、個人が自らのこれからのキャリアについて自律的に考えていくというマインドセットが必要になるわけです。
これまでの若手・中堅層を対象とした
キャリア支援との違い
星和:なるほど、そうなんですね。
ところで「キャリア支援」という言葉は、今までにも会社の中に存在しましたよね。
ただ、それらの多くは若手・中堅の社員を対象にしていたと感じています。
会社の中で、どのような目標感を持ってそれを実行していくのか、組織の階段を上がっていくためにどのようにキャリアを積んでいくのかということだったと思うのですが、今、中高年に求められるキャリア支援とはどのような違いがあるのでしょうか。
木村:そうですね、端的に言ってしまえば、「自分のキャリアは自分で決める」というような、“腹決め”をしてもらうような研修が必要だと思いますね。
いくら会社が「キャリア、キャリア」と言っても、本人がその気にならなければ全然ことは動いていきませんからね。
中高年社員向けのキャリア研修では「自分のことは自分で決める」というマインドセットをしてもらうことが一番のポイントだと思います。
星和:「マインドセット」ですか…私も50代半ばなのですが、これまでマインドセットという考え方を持ったことがなかったので、なんか「難しく」「面倒に」感じてしまう部分がありますね。
木村:そうでしょうね。世代的なことを言うのであれば…今、私は都内にある国立大学でキャリアデザインの授業を毎週1コマ持っているのですが、若い人は、実は10年後のキャリアみたいなものを考える機会を持って、自分のキャリアは自分で考えるものということを理解しているのです。
星和:学生のころから、キャリアに対する考え方を学んでいるのですね。
木村:はい、そうなんです。
私はある企業で新入社員教育を今やっているのですが、その新入社員たちに聞いても、ほぼ全員がキャリア教育を受けていて、キャリアの考え方というのをみんな知っています。
若い人は、自分のキャリアは自分で決める考えが当たり前になっていて、問題はないのですが、ミドル世代、45歳以降くらいの人は「キャリアを自分で考える」というスタンスをお持ちの方は少ないような気がします。
星和:私たちの世代は、真面目に働いていれば会社が引っ張り上げてくれるという意識を持っていた人が多いと思うんですよね。
木村:はい、そこが大きな違いですね。
なので、若い人は心配ないのですが、今の中高年と呼ばれる人は、キャリア自律の意識を持っていない人がすごく多いですね。「キャリアは会社任せ」という人が多いです。
星和:木村さんは、会社が行う中高年向けのキャリア支援について、どうあるべきだとお考えですか。
木村:そうですね……会社が強制的にその人のマインドを変えようというのは、人それぞれ環境も考え方も違うので難しいと思うのです。
そんな中で、会社は一人ひとりに“気づき”のチャンスを提供するというのはすごく大切なことだと思います。
やっぱり、皆さん大なり小なりこれまでのキャリアに不満を持っていると思いますので、いったん立ち止まって、これまでを振り返るきっかけを持つということはすごく重要ですね。そのうえで、今の職場のまま働き続けたいという人もいれば、独立開業してみたいという人、ボランティアをしたいという人もいるでしょう。
中には、転職という選択をする人もいると思います。
最後は社員個人の判断になりますが、とても大切なポイントだけに、その場の流れで、「すぅー」っと行かせてしまうのではなく、いったん立ち止まって、考える機会を設けるということは会社にとっても大切なことだと思います。
星和:そうですね。
とはいえ、多くの方はこれまで通り、まだしばらく今の会社に勤めると思うのですが、個人の心構えとして何かアドバイスをいただけますか。
木村:個人の心構えですか、やっぱり、60、65、70歳と働く期間が長くなりますので…今まではファーストキャリア、学校を卒業した後、最初に入った会社で定年まで働いておしまいという考え方が主流だったのが、これからは、セカンドキャリア、サードキャリアという考え方もあるのかなと思います。
初めの会社では、初めの会社としての経験を積んで、次はまた新たなステージで三つくらいまで考えてということが普通になるかもしれません。
80歳現役の時代に一つの会社でずっと働き続けるというのはあり得ない考え方で、現実的に考える必要があると思います。
自身のこれからに対して何をすれば
いいのか
星和:今をしっかり働きながら、自身の将来をイメージし、そこに何が必要かということも考えていかなくてはなりませんね。
7月にご講演をいただく、「働かないシニアにならないためのミドル社員の教科書」というお話も、シニアになってから考えるのではなく、中高年の間から考えておく必要性があるということと理解しているのですが、具体的に、引退まで求められる人材であるためには、どのようなことを実践していけばいいとお考えですか。
木村:私の本『ミドルシニアのための日本版ライフシフト戦略』(WAVE出版)や、御社のメルマガでも、少し書きましたが、五つの“M”を使って考えていただけるとすごく整理しやすいと思います。
この五つの“M”ですが……
一つ目は「マインドセット」、キャリアは自分で決めるというマインドを持つということです。
二つ目は「ミッション創造」です。たとえ雇用されているとしても、バーチャルで自分の会社を経営しているんだという意識を持ち、その「自分会社」のビジョン・ミッションを創っていくイメージです。
三つ目は「学び」です。
従来は学校での学びと就業してすぐの若いころの研修で定年まで行けたんですが、今の時代はプラスアルファの学びが必要になっています。
もちろん会社が行うミドルシニア層への積極的な研修というのは必要なのですが、自分自身でお金を払っての積極的な自己啓発も必要になります。
また、会社の研修も今までは「新入社員研修」や「3年目研修」などの若い人への研修が中心で、その後は、管理職になる手前の「リーダー研修」や管理職になってからの「新任課長研修」でだいたい終わりで、管理職にならなかった人は、その後一切なしというケースも多かったと思います。
これからは研修のエアポケットとなっていたミドルシニア層に対しても積極的な教育投資をすることがとても重要になってきます。
そして、四つ目は「見える化」。
会社で働いている人は実は豊富なスキルや人脈を持っているのですが、ずっと同じ会社にいるとそれを書き出してみる機会がないのです。
どこかでいったん立ち止まってどんなことをやってきたのか、これから何をやりたいのかそのためには何が必要かを徹底的に「見える化」することが重要です。
最後五つ目は「マルチ化」です。
この「マルチ化」には三つあって、一つは「知識・経験・スキルのマルチ化」で、これは自分独自の複合スキルをつくる事なのですが、掛け算して第二のスキルをつくります。
次に「人脈のマルチ化」です。
ミドルシニアの方は会社での人脈が中心になりがちなので、会社の外での人脈、例えば、他企業の同じ職種の人とお付き合いをしてみるのもいいかもしれません。
最後は「収入源のマルチ化」です。
一か所からずっと給料をもらっているとどうしても会社に依存する体質になってしまいます。
副業を許している会社も増えてきましたし、会社も寛容に副業を認めていくことが必要かと思います。
このあたりの話は、7月のセミナーで詳しくお伝えできるかと思います。
星和:ありがとうございます、メールマガジンでも触れていただいた、変身資産というものをどうやって身に付けていくかということを真剣に考えなくてはなりませんね。
木村:そのあたり、学校を卒業して、ずっと同じ会社で働いてきた人は、変身資産的には乏しいですね。
一度でも転職経験のある人というのは、転職(キャリアの変更)に対するハードルが低くなっていますので。
従来は転職というのはネガティブなイメージがあったんですが、これからは、転職経験がある方はキャリア自律にプラスに働くかもしれませんね。
星和:7月のセミナーで続きを詳しくお伺いするのが楽しみです。
今日は、ありがとうございました。
【セミナーは終了しました】
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