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ミドルシニアの羅針盤レター2025-11
ミドルシニアの羅針盤レター  2025#11

  【第3回】ディープドライバー5つの発見法
―やる気の源泉を掘り起こす技術―

習慣化コンサルティング㈱代表の古川武士氏に「自律型人材を育てるための
習慣化メソッド」について、4回にわたって語っていただいています。
今回は3回目になります。

なぜ「自分を動かす源泉」を見つける必要があるのか
 多くの人が、「やる気が出ない」「モチベーションが続かない」と言います。
しかし、それは“やる気がない”のではなく、「自分を動かすスイッチの場所」を
知らないだけなのです。

人は、それぞれ心の奥に“燃料タンク”のようなものを持っています。
外から与えられるガソリン(報酬や承認)ではなく、自分の中で自然に燃え続ける
燃料。それが、ディープドライバー(Deep Driver)=やる気の源泉です。
この燃料を知らないまま頑張ろうとしても、短距離は走れても、長距離は走れません。

一方、自分のドライバーを知っている人は、どんな環境でも、ブレずに
走り続けられます。企業の中で「やらされ感」が増えるのは、多くの社員が
“自分のドライバー”を見失っているからです。ですから、人事やマネージャーが
できる最も価値ある支援は、「本人が自分のディープドライバーを見つける機会」
をつくることなのです。


ディープドライバーを掘り起こす5つの発見法
 ここからは、研修や1on1でも実践している5つの方法を紹介します。
これは単なる自己分析ではなく、「心の奥にある動機を、言葉として
可視化する」技術です。

(1) 体験から探る ― 過去の「夢中体験」を掘り起こす
小学生の頃、あなたが時間を忘れて取り組んだことは何ですか?
遊び、部活、勉強、趣味――どんなことでも構いません。
「人は過去の体験に未来の動機が隠れている」と言われます。

たとえば、私自身は「人が変わっていく瞬間」に心が動くタイプです。
そのルーツをたどると、学生時代に友人に勉強を教えて、
「できた!」と笑顔になった姿を見た時の快感が原点でした。
体験には、理屈ではなく“心が反応した瞬間”が残っています。
その瞬間を丁寧にたどることで、あなたのドライバーの種が顔を出します。

(2) 好きから探る ― 「惹かれるもの」にこそ本音がある
人は、自分の“好き”に嘘をつけません。
「好きな映画」「好きな人物」「好きな場所」――
それらには、あなたの価値観が映し出されています。

たとえば、「映画ではヒーローより脇役に惹かれる」人は、
“支えること”に喜びを感じる傾向が強い。
「旅番組が好き」な人は、“新しい世界への好奇心”を持っています。
“好き”は、「努力せずとも続けられる領域」です。
だからこそ、習慣化のベースになるのです。

(3)嫌いから探る ― 嫌悪の裏には価値観がある
不思議なことに、私たちは「嫌いなこと」を通じて、自分が何を大切にしているか
を知ることができます。

たとえば、「だらしない人が嫌い」という人は、「誠実さ」や「責任感」を
重視している証拠。「人の悪口を言う人が嫌い」なら、「思いやり」や
「信頼」を求めています。
つまり、“嫌い”の裏には、“守りたい価値”があるのです。
そこに気づくと、あなたが「どう生きたいのか」が明確になります。

(4) リスト化する ― 過去の“熱中体験”を10個並べる
過去の仕事やプライベートで、「熱中した」「達成感を味わった」瞬間を
10個書き出してみてください。
そこに共通するキーワードが、あなたのディープドライバーです。

たとえば――
「人に喜ばれることがうれしい」
「自分で考えて形にするのが楽しい」
「チームで成果を出すと達成感がある」など。
リストをつくることで、無意識のパターンが浮かび上がります。
ディープドライバーは、“好きなこと”や“得意なこと”よりも深い、
「なぜ好きなのか」「なぜ得意なのか」の根っこにあります。

(5) 問いで掘る ― 「なぜ?」を5回繰り返す
次のような問いをベースに書いていくことで、掘り起こしていくアプローチです。

あなたが「これは大事にしたい」と感じるものは何ですか?
絶対に譲れない仕事のスタンスは何ですか?
どんな時に「自分らしく働けている」と感じますか?
仕事で「これだけは失いたくない」と思うものは何ですか?
どんな場面で「時間を忘れて没頭」しますか?
頼まれていなくても、つい手が動いてしまうことは?
周りから「あなたらしい」と言われる行動は何ですか?
誰かから何を求められることが多いですか?
チームにいるあなたの“自然な役割”は何ですか?

このような問いをベースに、「なぜ?」を5回繰り返してください。
この「なぜ?」の連鎖の一番深いところに、あなたのディープドライバーが
眠っています。


ドライバーを行動に変える
 ディープドライバーの言葉を見つけても、それを“行動”に変えなければ
意味がありません。

たとえば、あなたのドライバーが「支える喜び」だとしたら、
職場で“後輩の相談に5分だけ乗る”という行動を習慣化する。
「極めたい」タイプなら、“毎日10分の研究メモ”を残す。
「挑戦したい」タイプなら、“週に1回、新しい人と話す”。
重要なのは、ドライバーをベビーステップに落とし込むことです。
それができれば、“やる気”に頼らず、行動が自然に続くようになります。

仕事をしていると、壁にぶつかることがあります。
評価されない、成果が出ない、やる気が下がる――。
そんな時、ディープドライバーの言葉を見返してみてください。
「私は何のために頑張っているのか」
「何をしている時に、生きていると感じるのか」
その答えを思い出すだけで、
方向感覚を取り戻すことができます。
人生は長いマラソンです。自分の“内的地図”を持っていれば、必ず
道を見つけられる。
ディープドライバーとは、まさに「キャリアの羅針盤」なのです。



【筆者プロフィール】
古川 武士 (ふるかわ たけし)
習慣化コンサルティング株式会社代表取締役
1977年大阪府生まれ。関西大学卒業後、日立製作所などを経て2006年に独立。 約5万人のビジネスパーソンの育成と1000人以上の個人コンサルティングの経験から「続ける習慣」が最も重要なテーマと考え、日本で唯一の習慣化をテーマにしたコンサルティング会社を設立。オリジナルの習慣化理論・技術を基に、「習慣が人を育てる」をミッションに、法人向けに「ザ・習慣化プログラム」(キャリア自律の習慣化)(仕事の高密度化研修)などを提供している。NHK「あさイチ」「ごごナマ」、TBS「情報7daysニュースキャスター」など250以上のTV、ラジオ、雑誌に出演。著書は、習慣化に特化したテーマでこれまでに25冊を出版し、累計120万部を超える。

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